推薦図書紹介

■わが息子よ、君はどう生きるか 著者 フィリップ・チェスターフィールド
ISBN978-4-8379-5770-6
紹介者:工藤秀雄(西南学院大学商学部教授)
【紹介文】
18世紀イギリスの外交官・政治家である著者が、息子へ向けた「良く生きるため」に必要な指針を記した書簡集。可能であれば十代のうちに本著を読み、自身で「すぐに実践出来そうな指摘、難しそうな指摘」等々、理解しながら生活に活かせば、人生が変わる。
  • 41P

    君も、良心や名誉に傷をつけることなく、社会のなかで立派にやっていきたかったら、嘘をついたりごまかしたりすることなく、潔く生きるといい。このことは、命ある限り頭にたたき込んでおきなさい。そうすることが人間としての義務であり、自分の利益でもあるのだよ。

  • 116P

    社会的な問題をいくつか取り上げて、それについて出てくるであろう賛成意見、反対意見を、頭のなかで考え、論争を想定し、それをできる限り的確な言葉で表現してみる、というのもいい勉強法だ。
     たとえば、防衛力の強化について考えてみるとしよう。反対意見のひとつに、強大な軍備力によって、周辺の国に脅威を与える恐れがあるというものがあるだろう。賛成意見のひとつに、力には力で対抗する必要がある、というものがあるだろう。
     こういった賛否両論を考え得る限り考えて、たとえば、本質的には悪である常備軍を持つことが、状況によっては、他国の悪を防ぐ必要悪となり得るかどうかなど、じっくり考えてみるのだ。そうやって自分なりの考えをまとめ、それを優雅な文章にまとめてみるといい。議論の練習にもなるし、常にうまく話す習慣を身につけることにもつながる。

  • 169P

    世の中は、一冊の書物のようなものだ。今、私が君に読んでもらいたいのは、この、世の中という名の書物だ。この書物から得られる知識は、今まで出版された本すべてを合わせた知識より、はるかに役に立つ。だから、立派な人々の集まりがある時には、どんな優れた本も脇へおいて出かけるがいい。そのほうが、何倍も勉強になる。