推薦図書紹介

■一九八四年 [新訳版] 著者 ジョージ・オーウェル
ISBN978-4-15-120053-3
紹介者:工藤秀雄(西南学院大学商学部教授)
【紹介文】
1949年に発刊されたディストピア小説だが、今、まさに、本著の内容が起こっている。人が生きる上で、何が最も許容し難いものか、本来、人間は何に対して抵抗しなければならないかを理解するために重要な著書。
  • 82P

    「分かるだろう。ニュースピークの目的は挙げて思考の範囲を狭めることにあるんだ。最終的には<思考犯罪>が文字通り不可能になるはずだ。何しろ思考を表現することばがなくなるわけだから。」

  • 296P

    「問題となるのは、党そのものの士気である。最も地位の低い党員ですら、有能で勤勉、ごく限られた範囲内であれば知性を働かせることさえ期待されるが、彼はまた同時に、信じやすく、無知で狂信的でなければならず、恐怖、憎悪、追従、勝利の興奮が、彼の支配的な感情でなけれればならない。別言すれば、彼は戦争状態に適した精神構造を持っていることが必要なのだ。」

  • 452P

    「『かれらだって人の心のなかにまで入りこめはしない』と彼女は言った。だがかれらにはそれができるのだ。『ここで君の経験することは永久に変わらず続く』とオブライエンは言っていた。そのことばに嘘偽りはなかった。どうしても立ち直ることのできない出来事、自分のやった行動というものがある。何かが胸の内で葬られる、燃え尽き、何も感じなくなるのだ。」