本の中にある
宝物の一文

一外交官の見た明治維新(下)

 著者 アーネスト サトウ (著), Ernest Mason Satow (原著), 坂田 精一 (翻訳)
ISBN4-00-334252-6
宝物の発見者:柳生十兵衛
  • 76P

    私は、内政問題に関し諸大名の意見が互いに一致していないのだから、何らかの形で戦争が行なわれなければ問題は解決できるとは思われね、二、三十年も戦乱がつづいて、日本が著しく疲弊するとなると、諸外国はその機会に乗じていずれかの一派を援助して他派に対抗し、しまいに日本領土の一部をわが物とするに至るだろう、しかし外国と戦争するとなると京都が攻撃の的になるから、その結果はかえって国内の抗争を和解に導くことになる、かくして平和が到来し、はじめて諸外国は天皇と条約を結ぶことが可能になり、それによって大君の憲法上の立場も明確になるであろうと述べた。

  • 143P

    こうして、徳川八百万石の領地のうち約七百万石が実際に天皇の領地になったのであるが、もしも徳川があの時服従していたら、残余の所領を保有し、とにかく平穏にやって行けるはずであった。

  • 253P

    勝は紀州屋敷の離れ家に住んでいたが、その屋敷にはまた、これまで大名屋敷の間を流れる情報や文書をわれわれに取り次いでくれていた紀州の家臣竹内老人も住まっていた。